• Home
  • ファミールブログ

ファミールブログ

【終活オススメ本③】人の看取りに接した看護師が教える後悔しない死の迎え方

2021年1月25日
【終活オススメ本③】人の看取りに接した看護師が教える後悔しない死の迎え方

img087
「人の看取りに接した看護師が教える 後悔しない死の迎え方」
~送る家族も旅立つ人も幸せなご臨終のために知っておいてほしいこと~
著・後閑愛実 ダイヤモンド社 1,480

人は自分の死を自覚した時、あるいは死ぬ時に何を思うのか
著者の後閑さんは、看護師として永く病院勤務をされ、千人以上の方々の看取りに接してきた。

そのご経験から、「みながみな、『いい人生だった』『あんな最後がいいよね』と思えるような《死とうまく付き合う時代》にしていくことが自分に与えられたミッション(使命)と心に刻み、看取りコミュニケーション講師として研修や講演活動をされている。

本著は、「幸せなご臨終」を迎えるために、本人や家族に知っておいてほしいことがまとめられ、多くの感動ストーリーが紹介されている。

〇エピソードの例「最後のありがとうの言葉」

亭主関白の夫は、がんの末期でほとんど眠って過ごしていました。そのご主人が珍しく目を覚ましていました。看護師の後閑さんは、奥さんの前で、「やさしい奥さんですね、たまには“ありがとう”って伝えたほうがいいですよ」と促しますが、その場では照れくさがって言いません。その後、後閑さんがその場を離れたあと、奥さんからご主人に「ありがとう」と伝えたそうです。そしたら、奥さんの帰り際にぼそっと「ありがとう」と言ってくれたそうです。それが最後の言葉となりました。

結婚してからいままで、感謝の言葉も、ねぎらいの言葉もなかったので、奥様は自分のことをどう思っているのか、ずっと不安でした。しかし最後の最後の「ありがとう」の一言で、奥さまは長年のわだかまりがすべて消えたというのです。ご主人から「幸せだったよ」と言われた気がしたそうです。

「ありがとう」。その一言は、それまでのわだかまりを癒し、最後にこれでよかったと思わせてくれた、魔法の言葉。ご主人は「ありがとう」と言うことで死を受け入れ、それを感じ取った家族も死を受け入れることができた…。

だから、逝くほうも送るほうも、何ひとつ悔いのない最後を迎えることができるのだ、と後閑さんは断言する。

このような感動的なエピソードがたくさん綴られており、読後に、だれかを見送る立場にたったときの心構えを学ぶとともに、自分がどう生きるか、どうような最期を迎えるか、を考えさせられる。

「死と向き合う」ことで、家族への感謝や生きることの素晴らしさを思い出してくれる終活に必読の一冊だ。

img_6fc74843507776294ca293d20bcd381622951

後閑愛実(ごかん・めぐみ)

17年前より看護師として病院に勤務。主に終末期の医療を施す療養病棟で経験を積む。

ものすごく苦しがる患者さんの最期を看取ったり、突然の死を家族が受け入れられずに取り乱す姿に立ち会ったりすることが続き、人の死に直面するストレスで自ら死を考えることも。辛く苦しい最期を迎え、家族をも不幸にしてしまうか、最期まで笑いを忘れず幸せな死を迎えられるかどうかは、「死の捉え方」。ひいては「生き方」そのものに鍵があると考えるようになる。「人生を最期まで笑って楽しく過ごせる生き方をサポートする」をミッションに掲げ、看護師をしながら看取りの際のコミュニケーションや、幸せな最期を迎えられる生き方の講師としても活動中。


閉じる